クリスマスの起源と本当の意味は?

末になれば様々なイベントが目白押しですが…もう、年末に向けての準備は進んでいるでしょうか? ここでは、クリスマスの起源と本当の意味をご紹介していきたいと思います。

日本でクリスマスといえば、家族で夕食にチキンとケーキ…友人たちとパーティ、彼氏・彼女と過ごしたり。と様々な楽しみ方がありますよね。

しかしもちろん、もともとを辿れば宗教的な意味合いが強いクリスマス。そもそも、クリスマスとはどのようにして生まれた文化なのでしょうか。そもそものクリスマスが生まれた背景、そして日本と外国との違いを見ていくことにしましょう!

クリスマス…言葉の意味は何?

クリスマスといえば、キリスト教が大きく関わっていると考える方がほとんどだと思います。

もちろん、それは間違いではありません。ただ、本当の意味では正解でもない…というのが実際のところだったりします。 

クリスマスのことをイエス・キリストが生誕した日、と思っている方はかなり多いと思います。ですが実際には、キリストの生誕を祝う日であって誕生日というわけではありません。キリストの誕生日は聖書でも不明となっており、特定することはできないようです。

ちなみに何故12月25日に祝うかというと、それには次のような理由が有力視されています。ここでは、一番有名な説を取り上げますね。

誕生日は不明が当たり前で、祝うものではなかった。

紀元1世紀、西暦1年はキリストが誕生した年を言います。しかし、先ほども上記で言ったようにキリストの誕生日は不明であり、聖書等にも書かれているわけではありません。

というかそもそも当時、一般の民衆だけでなく王族だったりでさえも、誕生日を祝うことも記録することもなかったようです。いわゆる数え年と呼ばれるものが風習としては近いかもしれませんね。生まれた年が1年目で1歳、2年目が2歳…と、これは昔の日本の風習ではありますが、似たような慣習が用いられていたわけです。

当時のユダヤの法律などでは、誕生日を明確に記さないのが当たり前。だからこそ、キリストの誕生日も不明なのが当然だったわけです。

なので、実際の12月25日は誕生日というわけではなく生誕を祝う日なのです。もっと正確に言えば、キリストがこの世に降りてきたのを祝うという、いわゆる降誕祭がクリスマスということになります。

なぜ12月25日になったの?

キリストの誕生日は不明で、どんな文献を探しても出てくることはありません。では、何故12月25日が生誕を祝う祭りの日になったのでしょうか。

先に答えを言ってしまうと、実はクリスマスはキリスト教から始まった儀式・イベントではないというのが正解です。イエス・キリストの没後、400年ほど経過してようやくキリスト教は浸透していくことになります。紀元後400年ほどの時代の話になりますね。

ですが、このキリスト教が普及される以前にも、12月25日を祝う祭というのはすでに存在していたわけです。

さて、ではそれは何かという話になりますが。

当時、ローマ帝国ではミトラ教(ミトラス教)という太陽神を信仰する宗教が信じられていました。1年で1番陽が短くなるのが冬至ですが、ミトラ教ではこの冬至の次の日(つまり、再び陽が長くなり始める日)こそが、太陽神が誕生する日だと伝えられていたわけです。

ミトラ教を信仰する人々はこの日を特別な日として盛大に祝い、プレゼントを贈りあったりご馳走を食べたりしたようです。12月25日(冬至の次の日)を盛大に祝いプレゼントを贈ったりご馳走を食べる…いまのクリスマスは、このミトラ教の風習から来ているわけですね。

さて、ここでまた疑問が生まれます。何故、他宗教のお祭りがキリストの生誕を祝う祭りに変わっていったのでしょう。

そもそもミトラ教とはどういった宗教なのか

ミトラ教とは、太陽神ミトラを信仰する宗教を言います。

太陽神ミトラは、のちのゾロアスター教などでは下級神の扱いを受けてしまう不遇の神様なのですが、この当時は英雄としても名高いものでした。そういったところからミトラの人気が高まり、ミトラを主神としたミトラ教が生まれるに至るのです。 

ミトラ教の迫害と消滅

紀元4世紀にもなると、時の皇帝たちはキリスト教を保護したりミトラ教からキリスト教に改宗する人も出てきます。皇帝の保護を受けたキリスト教はミトラ教を迫害していき、ミトラ教はだんだんと衰退の一途を辿るのです。

もともと、太陽神の誕生日であった12月25日はミトラ教の衰退とキリスト教の台頭によって、太陽神の祭事の日からイエス・キリストのものへと変わります。紀元354年、皇帝リベリウスが冬至のこの日をキリストの降誕日(地上に降り立ったことを祝う日)と定め、キリスト教の聖なる日はこうして決まったわけです。

ちなみにミトラ教は、その後衰退の一途を辿り紀元5世紀ごろには完全に滅亡します。

ミトラ教はもともと、庶民の間で信仰されていた宗教だったようです。当時の庶民といえば男性社会であり、兵士たちがある程度の特権を持っていた時代。英雄神であるミトラは主に庶民の男性・兵士などの間で普及されていました。なので、時の皇帝たちもミトラ教を崇拝する人物が多かったんですね。

キリスト生誕のミサ…クリスマスの制定

冬至の日に太陽神が復活する祭は、キリストが降誕する祭へと中身が変わりましたが、当時の人たちはそれを受け入れてキリスト教の降誕祭を祝うようになりました。キリストの降誕を祝う礼拝(ミサ)が行われるようになります。Christ(キリスト)のMass(ミサ)…ここから、クリスマスという風習が生まれるわけです。

まとめ:クリスマスの起源にはいまはなき宗教の栄枯盛衰があった

というわけで、ここまで見てきました。

キリストのミサという語源なのは想像つくところですが、そもそもの起源がキリスト教ではないのは少し驚きですよね。

日本では、イベントのように扱われることが多いクリスマス。その起源に少しでも思いを馳せてみると、いつもとは違った景色が見られるかもしれませんよ。